多くの高校生は1年時にこれからの進路を決める大きな選択が必要になります。文系理系の選択です。高校生にとって悩みの種である進路選択。文系か理系かはどう選べばいいか考えていきます。
正攻法は「将来やりたいこと」から考える
文系理系の選択は、ただ単純に高校時代に学ぶことを決める選択ではありません。大学、大学院、そして将来の仕事につながる選択となります。よって、最も大事なのは将来何がやりたいかによって決めるのがベストでしょう。
もし将来エンジニアになりたいのであれば理系に行くべきですし、弁護士になりたいのであれば文系に行くほうがいいかと思います。
ただ、文系に行ったらエンジニアになれないかというとそういうわけではないです。理系にいって弁護士になる人もいます。とはいえ、仕事につながるものを大学で学んでいきたいという意味では将来やりたいことで、文系理系を選択した方が将来の仕事に繋がりやすいと思います。
やりたい学問で選ぶのもよし
将来やりたいことという意味ではやりたい学問でもいいでしょう。大学でどんな学問を学びたいかを考え、それに合わせて文系理系を決めていく形になります。自分は経営学を学びたいと思っているなら文系を選択することになるでしょうし、バイオ系を学びたいなら理系選択になるでしょう。将来の仕事まで考えられなくても、まずはこういうことを勉強したいと思っているものから判断すると良いと思います。
数学が苦手だから文系は絶対やらないように!!
ここまではやった方が良い選び方でしたが、ここからはやってはいけない選び方です。一番やってはいけない選び方が数学が苦手だから文系です。残念ながら、大抵の生徒はこれをやってしまいます。文系選択した生徒の多くが数学が苦手だから文系を選んでしまうんです。数学が大変で嫌だという気持ちはわかりますが、数学から逃げてもあまり良いことはありません。
経済学は数学が必要
まず、特に経済学系に進学したいという生徒に伝えておきたいのが、経済学は普通に数学を使います。なので、仮に大学入試はなんとかなっても大学進学後に大変な思いをすることになります。これは経営学部や商学部などでも同様です。少なくとも文系にきたからもう数学はやらなくてよいわけではないので注意してください。
文系でも数学必須の大学もある
また、文系=数学不要という考えている人もいますが、受験で数学が必須の大学もあります。そもそも国立大学を希望している人であれば、共通試験も必要ですし、二次試験でも数学必須の大学が多いです。なので、数学から逃げられるわけではないです。また、早稲田大学政治経済学部では一般入試でも共通試験数学IAを必須にしています。数学で学ぶ論理的思考力は文系・理系関係なく必要なものです。むしろ文系の方がより必要なのかもしれません。そのため、今後も数学が必要な大学が増える可能性もあります。
将来的を考えても文系だから数学はやらなくて良いは良い考えではないです。
文系選択の大きな落とし穴!社会(日本史・世界史)をなめるな!
はい、ここから今回の本題に入ります。数学が苦手だから文系という生徒は、口には出さないですが、心の中で思っていることがあります。
「社会は中学の時も覚えたらいけたし、数学よりはいけるでしょ」
もし、このように考えている人がいれば、その考えは甘すぎなので捨ててください。
文系入試3科目は英語・国語・社会or数学選択
ここでちょっとだけ整理しておきます。一般的に私立大学の場合、3科目で受験するのが普通です。文系の場合、国語・英語は必須で、もう1科目を社会か数学で選択となります。社会の中には、地歴(地理・日本史・世界史)と公民(倫理・政治経済・現代社会)がありますが、文系選択者の場合は日本史か世界史で受験する場合が多いかと思います。他の科目の場合、大学によって受けられない場合もあること、一般的に文系選択した場合、学校で必須となるのが日本史か世界史かを選択させることもあり、大抵はどちらかを選ぶ形になるでしょう。ただ、受験上はもう1科目は社会か数学の選択となるので、数学で受験することもできます。その場合は社会は不要で、国語・英語・数学で受験です。この場合の数学はⅠAまでなのかⅡBまで必要なのかは大学や学部によります。
中学社会と高校の日本史・世界史はその量が桁違い
高1で文系選択する際に、文系を選んでいる人は先ほどの「社会は中学の時も覚えたらいけたし、数学よりはいけるでしょ」という風に思いがちです。でも、その結果、日本史・世界史を勉強し始めて、気付かされる事実があります。それは、覚える量が中学社会とは異なり、膨大であるという事実です。
おそらく、数学ではなく社会(日本史・世界史)で受験すればいいと思う人にとっては、中学の社会はそれほど苦手ではなかったのではないでしょうか。なんなら社会はテスト前に暗記すれば点数が取れる科目だと思っていた人も多いでしょう。その感覚のまま高校で日本史・世界史をやると、「えっ、社会ってこんなに覚えないといけないの?」となるはずです。それくらい日本史・世界史の記述量や覚える量は膨大です。
高1生は日本史と世界史の膨大な量に気付いていない
ただ、文系理系選択時には、そもそも高校で日本史や世界史をやったことがない人の方が多いかと思います。高1では公民から1科目授業があり、高2から地歴のどれかを選択する高校が多いです。そのため、まだやっていないのに選択せざるを得ないという状況はかわいそうだと思います。
ただ、結果として中学で歴史はやっているからその感覚で日本史・世界史を考えてしまう生徒が続出します。その結果、日本史・世界史が膨大な量だと気づかず、中学社会のノリでいけると勘違いしてしまいます。
ちなみに定期テストレベルであればなんとかなります。定期テストの場合は範囲が限定されているので、丸暗記でもなんとか乗り切ることができます。(もちろん勉強して覚えるのが前提ですが。)
ただ、受験となると話が大きく変わります。日本史・世界史の全範囲から出題されてしまうので、覚える量が桁違いになってしまうからです。高3になって、その膨大な量を覚えられずに最後まで日本史・世界史に苦しめられる生徒を何人も見てきました。そんな高3生も高1の頃はなんとかなると思っていたはずです。でも現実は覚えられない。この高3になってから日本史・世界史に苦しむという事実を、高1の文系選択段階からよく理解しておく方が良いでしょう。
実は現役生は数学選択の方がいける!?
ちなみに、先ほども書いたように、文系受験では社会と数学はどちらかを選択となります。数学が苦手だから文系選択したはずなのに、社会(日本史・世界史)に最後苦しむ生徒がいますが、その横で、数学で受験する生徒もいます。ここで感じるのは実は現役生の場合、文系でも数学選択した方が合格しやすいのではないかということです。
数学の場合、最後に苦しむという生徒はあまり多くないと思います。厳密には数学選択でも最後まで勉強しないといけないので、大変さはあまり変わらないです。でも、日本史・世界史を選択した生徒に比べるとすんなり勉強に入っていて、受験もうまく乗り切る生徒が多いように感じます。これが浪人生となると日本史・世界史でも大丈夫な生徒も増えてきますが、現役合格を目指すなら数学選択の方がいいのでは?と感じています。
少なくとも数学はやっておいて損はない
もちろん、文系選択者が数学をやることで高2の頃は大変なこともあるでしょう。ただ、結果的に受験を見るとその方が良い成果を出すこともあります。少なくとも社会か数学を選択できるなら、まずはその両方をやっておくというのは悪い選択ではないです。高3になって、やっぱり数学より日本史の方が得意だとなれば日本史で受験すればいいですし、数学でいけるとなれば数学を選択すればいいです。
私立大学志望の場合、どうしても早めに科目を絞るという作業をしてしまいがちです。科目を絞ることがダメではないですが、数学を早めに切ってしまうという選択はあまり得策ではないです。特に日本史・世界史をまだ勉強したこともないのに、日本史・世界史にかけるというのは賭けになってしまいます。
文理選択は人生を決める選択でもありますし、大学受験という小さい世界でも大事な選択になります。苦手だからとか中学の時はなんとかなったからという理由で安易に決めない方がいいですね。
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