勉強が苦手な生徒にありがちな勉強時間の使い方

勉強取り組み

塾講師をしていると、勉強が苦手という中学生をたくさん見ることになります。勉強ができなかった生徒でも、その後立て直して上位に上がっていく生徒もいます。テストで平均点に届いていなかった生徒が平均を悠に超えていく生徒もいます。その一方で、残念ながら成績が伸びず、そのままという生徒もいます。これらの違いはどこから生まれてくるのでしょうか。

勉強が苦手な生徒ができていない「時間の使い方」

そもそも勉強が苦手な生徒には足りていないものがあります。もちろん基礎的な学力がないのですが、学力は遅れても身につけることが可能です。今勉強が苦手という生徒に対して、学力を問題視しても意味もないです。でも、それから勉強を続けていく中で学力が身につかない子には根本的に足りないものがあります。そしてそれが抜けたままだと、いくら勉強しても全然伸びていきません。この大事な要素が勉強に取り組む時間の使い方です。

問題を解き始めるまでのスピード

例えば、塾で「⚪︎ページのこの問題をやってみよう」と生徒に言ったとします。すると、その問題に取り組み始めるまでのスピードが人によって様々です。勉強ができる生徒は、すぐに問題に取り掛かります。勉強ができない生徒は問題に取り掛かるまでの時間が遅いです。中には数分経ってから「どの問題ですか?」という生徒もいました。その問題が解けるかどうかは、ここでは重要視していません。問題を解くスピードではなく、問題に取り掛かるまでのスピードが違うんです。まずはそこまでに話をしっかり聞いているかどうかに差が出ています。そして、「やってみよう」という問題にすぐに取り掛かるかどうかにもさらに差が出てしまっているわけです。

問題を解く間のインターバルが長い

また、こんな生徒もいます。塾にきて学校の宿題をやっている生徒がいたので、どこまで進んだのか聞いてみました。すると長い時間宿題をしていたはずなのに、ページが全然進んでいません。もちろん1問あたりの問題を解くスピードが遅いという点は考慮しないといけません。ただ、それ以上に進んでいないのです。よくみると、1問を解いた後、次の問題に取り掛かるまでにぼーっとしていて、次の問題に取り掛かるまでに時間がかかってしまっているんです。一問一問を解く、その間のインターバルの時間が長すぎるのです。勉強時間が長いのに進み方が遅い生徒にはこの傾向があります。

勉強に対する姿勢を変える

上記で挙げたのは一例ですが、「勉強はしているのに成績が上がらない」という生徒はこの傾向があります。机に向かって座っている時間の長さを勉強時間の長さと捉えてしまうパターンです。机に向かっている時間のうち、本当に問題を解いたり、説明を聞いたり、自分の頭で考えた時間が極端に短い生徒です。勉強が苦手と言っている生徒はこのタイプが多いです。このタイプは、本人は「自分は勉強している」と思っているところが、さらに事態を悪化させています。

このような生徒は、まず勉強に対する取り組み方、勉強に取り組む姿勢を変えていかないといけません。これまでの自分の勉強のやり方、勉強に対する時間の使い方を改めて行く必要があります。ただ、これは生徒任せにしてできるというものではないです。その生徒が問題を解いている姿を見て、周囲が指摘して正さないといけません。家や塾で勉強していると言っても、この姿勢が正されていないまま時間を過ごしているだけなら効果がないのです。

勉強を教える前に姿勢を変えてやらないといくら各教科の中身を教えていっても意味がないです。そして、この姿勢が変わるかどうかが生徒の学力が上がるかどうかのキーポイントになっています。

もちろん勉強時間を確保することはとても大事ですが、そもそも勉強時間と自分では思っている時間が、実は勉強していない時間も含んでいることを知る必要があります。本人は自覚できていないので、この事実を自覚させて、その後実践できているか、本人を観察していく必要があるわけです。

学校での時間の使い方も同じ

時間の使い方で言えば、学校での時間も大きく関連があるでしょう。例えば、「今日って授業で何やった?」と聞いた際に同じクラスで同じ授業を受けた生徒であっても「⚪︎⚪︎の単元をやった」と答える生徒と、「今日何やったっけ?」となる生徒に分かれます。同じクラスの生徒に「⚪︎⚪︎やったやん。」と言われても「そうやっけ?」と反応する生徒もいます。同じ場所で同じ時間を過ごしていながら、学校での授業内容がどんなものだったのかという理解も生徒によって大きく分かれます。

中には「今日授業で⚪︎⚪︎をやったんだけど、よく分からなかった」という生徒もいますが、これは仕方がない面もあります。一回では理解できない単元もあるでしょう。ここで言いたいのは内容がしっかり理解できているのかではなく、授業をきちんと聞いていたかということです。学校の授業をしっかり聞いてくれている生徒であれば、その時に理解できていなくても繰り返し勉強していく中で理解が進んでいくことが多いです。でも、そもそも授業を聞いていない、どんな授業をやったのかさえ覚えていない場合、その時間を無駄に過ごしたのと同じです。

塾と異なり、学校での時間は同じクラスであれば、同じ量と中身の時間を過ごしているはずです。それに対する理解度は個人差はあっても、説明をしっかり聞く、内容把握につとめる、練習をするなど、その時間を有効に活用できていないと、その分だけ差が広がっていってしまいます。

有限な時間をどう使うかが勝負

人間の能力には多かれ少なかれ差があるでしょう。勉強面で言えば記憶力であったり、理解力などには差があると思います。それは仕方ないです。

でも平等に与えられているものもあります。時間はその1つです。どんなに優れた人であっても1日は24時間です。その中で勉強時間を確保していくしかありません。また、同じ1時間を与えられたとしても、その使い方は人によって様々です。ぼーっと過ごす人もいれば、何か楽しいことを始める人もいるでしょうし、今後につながることをやり始める人もいるでしょう。与えられた時間をいかに使うかはその人自身によります。勉強時間も同じです。同一時間であってもその中身は大きく異なります。せっかく勉強に時間を使うのであればその中身をより質の高いものにしていく必要があるでしょう。

時間の使い方で成績は変えることができる

生徒の学力を伸ばすのは時間がかかります。一旦前の学年に戻ってやり直すという場合も出てくるでしょう。でも勉強している際にしっかり時間を使えていれば、いずれ学力も身についてきます。

でも時間の使い方を間違えるとどんなに良い授業をしてもその中身が薄くなってしまったり、時間だけはすぎていくのに中身が伴わないという状態を作ってしまいます。時間の使い方は、勉強の中身以前の問題なのですが、時間を有効に使えるようにならないと勉強ができる状態に導くことが難しいのです。

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