兵庫県の公立入試は毎年3月に行われます。2021年入試はコロナウィルスの影響を大きく受けましたが、今年は休校期間もないため、2022年(令和4年)入試は通常通りの入試となる見込みです。また、注意点として今年度からは新しいカリキュラムになったため、これまでとは異なる内容の出題も出てきそうです。
もちろん、受験対策としては通常の学校の勉強、これまで習った分野の復習と同時に過去問演習も重要になります。今回は前年度2021年3月に行われた度兵庫県公立高校入試の過去問の分析とその傾向を見ていきます。
2022年(令和4年)兵庫県公立高校入試日程
2022年(令和3年)の兵庫県公立高校入試日程は以下の通りとなります。
日程 | |
推薦入学・特色選抜 | 2022年2月16日(水)・17日(木) |
一般入試 | 2022年3月11日(土) |
過去の平均点は?
兵庫県公立高校入試の過去の平均点は以下となっています。
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | |
2021 | 53.2 | 60.1 | 52.6 | 51.7 | 52.1 |
2020 | 48.5 | 53.4 | 52.3 | 55.1 | 54.2 |
2019 | 57.4 | 62.8 | 51.7 | 43.4 | 53.9 |
2018 | 60.0 | 62.3 | 54.9 | 36.1 | 51.8 |
2017 | 68.1 | 59.1 | 50.8 | 51.5 | 58.4 |
2016 | 59.6 | 56.4 | 50.2 | 40.9 | 50.0 |
2015 | 59.3 | 65.6 | 52.7 | 42.6 | 50.5 |
2014 | 52.6 | 57.5 | 49.2 | 54.4 | 50.3 |
2020年あたりからどの科目も平均点が同じような点数になりつつあります。2021年も全体的に平均点の差が少なめですが、社会が昨年から大きく上昇。唯一60点台となりました。昨年度低かった国語も上昇して、他教科並みに。理科はやや点数が下がったものの、過去と比べるとそこまで難易度が高い問題でもなかったです。全体的には前年よりやや簡単になったと言えるかと思います。
さらに細かく分布を見ていくと以下となります。
こう見てみると、かつては科目ごとにバラバラだった点数が、どの科目も52点前後に揃ってきているという印象です。
さらに各科目ごとの得点分布も見ていきましょう。
国語では40点〜80点の間の生徒が多く、中間層が多くなってる反面、80点以上の上位層が少なくなっています。社会は上位も中間層も多く、これが平均点の上昇につながってそうです。数学は国語と同様の傾向が見られ、理科も同様ですが、40点未満が27%を超えており、ぐっと増えてきます。英語は40点未満が唯一30%を超えているものの、逆に80点以上も13%もあるので、上位と下位の差がつきやすい科目と言えそうです。
上位の高校を狙う生徒であれば、英語や社会は確実に高得点を取らないと大きく差がついてしまうので注意が必要です。
2021年入試の各科目別特徴
それでは2021年3月に行われた入試を科目別に見ていきましょう。なお過去問については下記で問題を確認することができます。
国語
前年度と同じく大問5題構成でした。前年に比べるとかなり解きやすい問題が増えた印象です。難しい知識も少なく、前年に比べ、前半で時間を取られる問題も少なくなりました。ただ、それでも時間が足りなかった生徒は出てきたと思います。
一昨年に比べると平均点が上がりました。資料問題は易化しましたが、古文漢文はやや選択肢が絞りにくい問題もあり、ここで時間を取られ、後半時間が足りなくなった生徒もいる可能性はあります。入試に向けて時間配分に注意しながら問題練習しておく必要もあります。
その他前年には選択肢から適するものを全て選べというタイプの問題が出題されていたが、なくなりました。ただ、今後回答が1つとは限らない問題が出題される可能性は十分あるので、受験生は注意が必要ですね。
社会
前年度と同じく大問3題構成でした。歴史で一部難しいと感じる問題はあるものの、全体的には基本知識や流れを理解していれば解ける問題が多く簡単だと感じた生徒が多いかと思います。資料問題も複雑な読み取りや複雑な知識を用いる場面がなく、悩まずに解けた生徒が多そうでした。
前年より平均点が上がり、唯一の60点台となった。日本地理が都道府県選択の問題が出ず、北海道地方のみで比較的解きやすいこと、公民全般が解きやすい問題が多いことで正答率が上がりました。答えを書かせる問題が少なく、選択肢が多いのも兵庫県入試の特徴です。
今回で言えば単純な知識を知っていれば解ける問題が多かったですが、知識を利用して考えられることを推測しながら回答する問題も出てきます。また、地図・資料を用いた問題も多く、地図での学習や資料を確認するのを、普段の勉強からしておくことが大事です。(地図は歴史でも重要です。)
時間は十分余裕があるので、焦らず問題文を読んで進めていくことと、普段からなぜそうなるのかを考えておくと応用問題にも対応できるようになります。
数学
前年までと同じく大問6題構成でした。基本的な問題が増えたので、上位陣からすると解きやすい問題が多くなった印象です。中堅レベルの高校を目指すなら大問1と大問2を解き、以降は前半部分だけ解く形で十分合格点が取れるでしょう。
数学は平均点がほぼ前年並みで推移しました。今年も正答率が、3(4)で1.0%、5(3)②で2.8%とかなり難しい問題が大問の最後で出題されています。大抵の生徒は最初から捨てた方がいい問題となっています。基本的な問題が解ければ平均点以上を取るのは意外と簡単です。大問1は全問確実にとって、その後の各大問で(1)、(2)あたりを確実に解いて60点以上確保するのがまずは大事です。
上位層は大問後半まで全て取れそうな問題(2021年なら大問2)を最後までとるのが絶対です。その中で大問後半の難問にチャレンジしましょう。何れにしても基本中の基本の問題から難問まで揃っているので、自分の解ける問題を確実に解くことが重要となります。
理科
前年までと同じく大問5題構成で形式はほぼ同じでした。以前は難しい問題が多かったですが、ここ数年は基本を理解しておけば解ける問題が増え、易化している印象です。ただし、2021年は前年よりは平均点は下がっています。
過去の兵庫県入試では、理科は学校レベルの内容を超えた問題が出題され、平均点も低い年が続いたが、2020年あたりから基本レベルの問題が増えています。教科書の内容や学校のワークができれば、全て解ける問題構成になっています。得意な人であれば、満点も狙えるレベルでしょう。一方で、そもそも理科が苦手という生徒も多く、重要知識を頭に入れるのはもちろん、化学の基本計算(比の計算)などは早めに練習しておきましょう。
この傾向が続くかどうかはわからないので、理科で高得点を狙う上位層の生徒は、それ以前の入試で出題された難しい問題も理解できるようにしておく方が良いですね。
英語
前年までと同じく大問5題構成でした。形式はほぼ同じです。大問2は共通テスト大問2のような複数のテクストから必要箇所を見抜くタイプが登場しています。大問3も共通テストを意識した図表を伴う問題です。文法で一部やや難しめのものがあるものの、全体として単語(はば単)・文法をしっかり理解していた生徒にとっては難しくはなかったはずでしょう。
英語は、前年とほぼ同形式の出題となり、平均点もほぼ同じでした。英語のポイントはとにかく語彙力を身につけることです。兵庫県の場合は、「はば単」で確実に語彙力を増やしておくこと、長文中で訳せるようにしておくことが重要です。逆にいえば、語彙力がついている人であれば十分高得点が狙えます。
また、リスニングの配点も例年通り高いので、リスニング対策も重要です。ただこちらもまずは語彙力が大事になります。もちろん音で聞いて何を言っているのか理解できることが必要です。日頃からリスニングを意識することもそうですが、常に音読をして英語の発音に慣れる練習をしておきましょう。教科書でいいので音読をして英語に慣れておくと良いです。
その他、新課程となって、教科書の内容・文法事項が難しくなっています。これまでにはなかった、現在完了進行形(have been 〜ing)、仮定法過去(If 過去形〜,S would 〜.)、原型不定詞(let O 原型)などは今後出題が予想されるので特に注意が必要です。
全体を通じて
全体として基本的な問題が増えて、頭を悩ませるような問題が減ったので受験生はやりやすい問題となっていたかと思います。ここ数年は同じような傾向で、基本をしっかり学んできたら点数を取れる入試となってきました。
そのため、下位から中位レベルは差がつくかもしれないが、上位校を受ける生徒であれば、ほとんどの受験生が高得点を叩き出し、差がつきにくい試験になっています。
ただ2021年に関してはコロナウィルスの影響で、思うように勉強ができなかったことへの配慮からか、全国的にも基本的な問題が増えているようです。2022年入試ではもう少し難問も増えることも予想されます。また、新課程となり、これまで出題されていない問題も登場することも考えられます。上位校に進学希望の生徒は基本はもちろん、難しい問題もチャレンジして準備しておく必要があるでしょう。
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